交差する電線

 

このところ頻繁に目にするLGBT法案の記事。

LGBTの当事者からは慎重論が出ており、4月、5月と記者会見も行っているが、

不思議なことに主要マスメディアの中で、ネット上にこの記事が残っているのは産経新聞だけだ。

他の新聞社やテレビ局は無視した可能性もある。

ほとんどのマスコミは、法制化を急ぐ政治家や団体のコメントばかり報じている。

SNSでは「G7でLGBTの権利保護を法制化していないのは日本だけ」という出鱈目がシェアされている。

しかし法制化しているのはカナダだけで、他の国はLGBTを特別扱いせず、普遍的な人権保護の対象になっている。

これは我が国においても同様。

日本国憲法第14条

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、

政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

法制化などしなくても十分だ。

これ以上保護する必要があるのだろうか?

慎重論者の「差別の定義が曖昧」という発言にも激しい批判が浴びせられているが、

これは本当に差別の定義を明確にしておかないと、例えば

LGBTの人が就職試験で不採用になったとき「差別だ」と言えば、その企業は罰則を受けることになりかねない。

なんでも差別にできてしまう。

法制化の積極論ばかり掲載する新聞社も、採用面接でLGBTを落としたら差別に認定されるリスクがある。

 

そもそも日本ではそんな法律を作らなくても、LGBTはじゅうぶんに市民権を得ている。

美輪明宏や池畑慎之介、おすぎとピーコ、KABAちゃん、楽しんご、IKKO、マツコデラックス……。

ゲイタレントは数えきれないくらいいるし、宝塚歌劇団では女性が男を演じ、歌舞伎や神楽では男性が女を演じる。

男色は奈良時代には寺院で広まり、戦国時代は武士の嗜みだった。

漫画や小説の世界でも百合、薔薇あるいはBLというジャンルが確立しており、

個人的な好き嫌いはあっても、性的少数者だからといって迫害を受けるような社会ではないだろう。

マスコミはそろそろ目を覚まさないと、“マイノリティを名乗った者勝ち”の社会になってしまうよ。

 

 

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

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