今日、事務所を訪ねてきてくれた人は、マスコミ業界のベテラン。
紙媒体に関わってきた人だが、春から新天地で次のチャレンジをするという。
その人が言ったのが
「動画の与えるインパクトも反響も、新聞と比較すると桁違いに大きい」
という意味の言葉だった。
私が日頃PCやスマホで触れる情報は、圧倒的にテキストと写真だ。
実はニュースのたびに動画を視聴するのは面倒くさい。
テキスト早読み、写真で視覚補完、これが早くていい。
ものごとを深掘りできるのも活字だと思うし、動画はあくまでも娯楽や教養中心のメディアだと思っていた。
ここでまた、私の寄付先の話をする。
先日、国境なき医師団(MSF)から報告書と卓上カレンダーが届いた。
MSFにも毎月一定額の寄付を続けている。
知人が一人、MSFの活動で南スーダンに赴いているが、彼の活動が寄付のきっかけではなかった。
またもアジアンドキュメンタリーズの作品だ。
『戦場病棟 アレッポの狂気』
シリア内戦で昼夜を問わず爆撃が行われる中、唯一機能していたアルクッズ病院の内部を映像で捉えたドキュメンタリーだった。
死と隣り合わせの状況下で負傷者の治療にあたる医師たちの志の高さに触れた。
作品中の医師たちは民間病院の医師で、MSFのスタッフではない。
だが私は、戦地で人の命を救うために活動している医師を支援したいと思った。
アレッポの病院の支援はできないが、MSFの活動がアレッポで展開されているかもしれない。
映像で心が動いて、寄付という行動を起こしていたのだ。
テキストメディアでは、知見を得ても寄付まで行動が及ぶことは滅多にない。
(トイレトレーラー支援はウェブページがきっかけだが、災害報道でいただいたお金をお返しする意味の方が大きい)
だが映像をみて抱いた感情は、そのまま行動に移りやすい。
(あくまで私個人の感想)
そうか、こういうことなのかと膝を打った。
映像は見る側の時間を拘束する分、濃いメッセージが伝わるのだと思う。
早送りで見れば、メッセージは薄まるどころか正しく伝わらないかもしれない。
仕事柄、動画のコンテンツを制作することがある。
メディアの特性をさらに分析すれば、テキストの役割、写真の役割、映像の役割を上手く使いこなせる気がしてきた。
『戦場病棟 アレッポの狂気』予告編(年齢制限あり)