父の初盆法要があった。
朝、檀那寺の住職が来て経を上げてくれた。
早いもので来月は、父が死んで一年になる。
住職に一周忌の日取りの相談をしていると、母が「“むかわり”というのは、どういう字を書くのですか?」と尋ねた。
住職は「調べたことはないですなあ」と笑いながら答えていたが、私には何のことか分からなかった。
あとで母に聞くと、一周忌のことをこの地方では「むかわり」と呼ぶそうだ。
ローカルすぎる俗称かと思ったが、調べてみると、主に奈良、岡山、広島、愛媛で使われている言葉だという解説があった。
意味は一周忌のこと。
だが、漢字でどう書くのか、語源は何なのかについては、憶測的な記事はあっても、明確な根拠を示すものはなかった。
この「むかわり」。知っている人はどれくらいいるのだろうか。
母世代より上は知っているだろうけど、私は今日、初めて耳にした言葉だった。
一般の辞書には載っていないし、ググっても簡単にヒットしない。
こんな言葉は山ほどあるだろう。
そして、いつか忘れられてしまう。
そう思うと、ちょっとさみしい。
生きてる間は、使ってみよう「むかえり」を。
ただ、会話の中で一周忌が話題になることが、これから先何度あるだろうか……。