父の初盆法要があった。

朝、檀那寺の住職が来て経を上げてくれた。

早いもので来月は、父が死んで一年になる。

住職に一周忌の日取りの相談をしていると、母が「“むかわり”というのは、どういう字を書くのですか?」と尋ねた。

住職は「調べたことはないですなあ」と笑いながら答えていたが、私には何のことか分からなかった。

あとで母に聞くと、一周忌のことをこの地方では「むかわり」と呼ぶそうだ。

ローカルすぎる俗称かと思ったが、調べてみると、主に奈良、岡山、広島、愛媛で使われている言葉だという解説があった。

意味は一周忌のこと。

だが、漢字でどう書くのか、語源は何なのかについては、憶測的な記事はあっても、明確な根拠を示すものはなかった。

この「むかわり」。知っている人はどれくらいいるのだろうか。

母世代より上は知っているだろうけど、私は今日、初めて耳にした言葉だった。

一般の辞書には載っていないし、ググっても簡単にヒットしない。

こんな言葉は山ほどあるだろう。

そして、いつか忘れられてしまう。

そう思うと、ちょっとさみしい。

生きてる間は、使ってみよう「むかえり」を。

ただ、会話の中で一周忌が話題になることが、これから先何度あるだろうか……。

 

 

ぶるぼん企画室は広島県東広島市を拠点に活動する編集プロダクションです。

ぶるぼん企画室
代表 堀行丈治
東広島市八本松南5-6-12コウセイビル202
TEL.082-401-1072 FAX.082-553-0556

By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *