インコ時間

インコを飼っている。飼い始めたのは2010年。ペットショップで見つけた、孤独なボタンインコだった。

色は青。ブルーボタンインコなので「ブルボン」と名付けた。鳥を飼うのは初めてだった。

まったく人に慣れていない鳥で、連れて帰ってから2日ぐらい何も食べなかったから、極度のストレスですぐ死ぬんじゃないかと思った。

私の心配をよそに、3日目あたりから餌を食べ始めた。だがケージに近づけばケージの反対側に張り付いたり新聞の下に隠れたりと、徹底的に遠ざけられた。

飛ばない、鳴かない、遊ばない。ほとんど動かない鳥だった。

相方がいれば寂しくないかもしれないと思い、ハルクインのセキセイインコを飼い始めた。だが、同じケージに入れるとブルボンは怯えてしまって、気の毒なくらいに狼狽えていた。ケージが一つ増えた。

その一ヶ月後、コザクラインコを連れて帰った。この子との相性は良かったようで、ブルボンが少しずつインコらしい遊びをするようになった。

その後もペットショップに行っては心惹かれる鳥に出会い、さらにセキセイインコ1羽、ボタンインコ2羽、文鳥2羽が増えた。

2011年の秋には8羽という多頭飼いになっていた。

部屋はうるさいくらいににぎやかだ。夜明けとともに囀りが始まり、放鳥すれば猛烈な羽音で飛び回る。文鳥はいつも喧嘩腰に唸っている。

鳥を多頭飼いしていると、手乗りだったインコも手乗りを忘れるようだ。うちに来たインコたちは、ブルボン以外はみんな「手乗り」として売られていたのだが、飼っているうちに野生に戻っていった。

鳥の大所帯は数年続いたが、やがて文鳥1羽が事故で命を落とし、その数ヶ月後にブルボンが衰弱し始めた。インコは死の寸前まで元気に見えると聞いていたから、止まり木から落ちて横たわって苦しみながら死んでいく姿が不憫だった。

ついでセキセイインコ2羽、ボタンインコ1羽を亡くし、一昨年は1羽残った文鳥も天に召された。

コザクラインコとボタンインコ1羽ずつで、結構仲良く暮らしていいたが、今週月曜日の朝、コザクラインコのネネが落鳥した。

翌朝、雪の中を実家の畑まで走り、ブルボンの墓の隣に埋めてあげた。

残ったのはボタンインコのナナだけになった。

ネネがいるときもケージは別だったのだが、隣り合わせだったので、姿は見えるし声も聞こえた。だがもう友はいない。

かわいそうに思えて、私が家にいるときは仕事部屋に連れてきて、放鳥している。

今日は出かける用事がなく、終日デスクワークだったので、ずっと仕事部屋で放鳥。ナナもケージを出たり入ったり、かなり自由度の高い一日だったと思う。

今までは手を近づけると噛み付くのが常だったが、今日は時々「撫でてくれ」と近づいてくる。

寂しいんだろうな、と思う。在宅中はなるべく自由にしてやることに決めた。

 

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By ほりゆき

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