西条バイパス

 

巷で「やりがい搾取」という言葉が聞かれるようになって久しい。

私は受けないけど、ライターやカメラマン業界でも、そういう話は聞くことがある。

名前が出るから、実績になるから安値(ひどい場合はタダ)でやってほしい、という依頼。

こんなプロジェクトに関われるならタダ(または激安)でもいいよね?という相談。

実際、私も本業ではない仕事で、このやりがい搾取のような仕事がある。

クライアントの態度は「あなたたちが取材したいものを通してやるんだからメリットがあるでしょう」

という感じだ。

挙句に「Win-Win」という言葉まで飛び出す始末。

どうやってもうちにWinなどありえない値段なのだが・・・。

本業ではないので「ボランティア」と割り切って、暇な時だけ動いている。

その「ボランティア」という言葉も、最近は体のいい無料アルバイトぐらいの扱いになっている。

あるマスメディア系の人たちが本を出すと、ソーシャルメディアで知った。

その人の投稿を見ると、編集や校正のボランティアを募集するのだという。

著名人や権力者に関わりたい素人さんに混じって、プロの編集者らしき人まで名乗りをあげている。

ザッツ・やりがい搾取!

面白い企画に関われるという餌に、あちこちから食いつく食いつく。

空いた口が塞がらない。

編集や校正を生業にしている人に頼むとお金がかかるので、ボランティアにしようと思っているのか。
(そうではないと信じたいが)

やりがいをチラつかせて、無償でやらせて、プロの事業者は排除。

マスメディアがこれをやる。

テレビは以前から、ネットでバズった動画を無料で使わせろという傲慢さがあったが、

紙媒体も似たようなものだなと思った。

しかしふと思った。

「この本作りに関わる人たちも全員ボランティアで、誰一人利益を追求していないのかもしれない」

そうだ。きっとそうに違いない。

 

ちょっと心が汚れてるな最近・・・。

 

弊社はボランティアで人を使うことはない。

お願いした仕事には、たとえ相手が専門外の人であっても

必ず対価をお支払いしている。

これは社会の常識であり、事業者としての矜持でもある。

 

 

 

 

 

 

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。