午前10時30分、丸亀製麺の開店時間に持ち帰りのうどんを予約した。そのまま車で45分ほどの実家に帰る。途中、実家に電話を入れると父が出た。

うどんを買って帰る旨を伝えると、声を弾ませて喜んでいた。ずっと食べたかったのだ。

実家の周囲は過疎地域で、町内にスーパーとコンビニが1軒ずつあるが、レストランも牛丼屋もうどん屋もない。うどん好きな父は、テレビで流れる丸亀製麺のCMを見て、ずっと食べてみたいと思っていたと、正月に打ち明けた。

 

ふだん実家に帰るときは、朝8時ごろに着いて、朝食をとり畑に出る。丸亀製麺が開店する時間は農作業の真っ最中だ。お昼時にうどんを届けようと思えば、開店直後に行くしかない。冬は農業閑散期なので、実家で丸亀うどんのランチを楽しむなら今しかないと思った。

出来立てのうどんには及ばないが、丸亀製麺らしいコシのある太麺は、持ち帰りでもじゅうぶんに楽しめる。ぬるくなっただしを温めて、熱々を食べてもらった。

 

念願の丸亀製麺は期待位以上においしかったようで、父は満足したようだ。出かける機会があれば、今度は店で釜揚げうどんをご馳走しいてあげたい。

数百円のうどんでも、人を喜ばせることができる。それが我が親なのだから、本当に幸せなことだと思う。

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

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