4年前から、12月24日の夜はサンタクロースになって家庭を訪問している。
今年は2軒、3家族、11人の子ども達にプレゼントを届けた。
サンタクロースになるには、事前におよそ3時間の講習を受ける必要がある。
一定のクオリティーとリアリティーが求められるのだ。
今年も例年通りに講習を受け、ベテランのサンタから話法や心構えを学んだ。
訪問先の子どもの情報を覚えて、シミュレーションを重ねる。
怖がるかもしれない、偽物かと疑われるかもしれない。
想定していないことが起きるかもしれない。
訪問先に向かう道中も、独り言のように子ども達にかける言葉を繰り返す。
呼び鈴を押す直前まで、脳内で想定問答が続いている。
練習は何度やってもいい。本番で練習以上の力が出せることは滅多にない。
練習でできないことは本番でもできない。
練習のレベルを上げれば、比例して本番のレベルの上限が上がる。
子どもも親も、サンタを喜んで迎えてくれた。
彼らの幸せそうな顔が、私を幸せにしてくれる。
頑張っていること、褒めてあげたいことをサンタの言葉で伝え、讃える。
その瞬間、子ども達の瞳が輝く。
認めてあげるということが、これほどまでに子どもの心を元気づけるのだと気づく。
初めて会う相手なのに、サンタクロースというだけで、子ども達は心を開いてくれる。
少なくともこの日本では、信仰や慣習を超越したスーパースターなのではないだろうか。
その、最強のキャラクターのサンタクロースを演じられることに、幸せを感じている。