夕陽を浴びるコスモス

 

写真クラブの例会。

合評会への提出作品が多く、先生は上機嫌だった。

さらに機嫌を良くしたのが、振り切った作品が多かったこと。

いわゆる「作例」のような写真は少なく、「なぜこれを撮ったのだろう」と思わせるものが多かった。

見る側が「ああこれね」と理解して隣の写真に移るのではなく、

足を止めてその場で考えるような作品だ。

それを先生は、こう喩えた。

 

コートの向こうにいる相手に向かってボールを打つのではなく、

壁に思い切りぶつけたボールの跳ね返りを、相手がどう受け止めるか、打ち返してくるか。

 

そこには相手がどう思うかという視点はない。

あくまで撮影者の視点のみで作られた世界が壁に投影され、

バウンドしたものが受け手に届く。

だれが、どんな角度で見るのかを想定するのではなく、作品に自己を投影する。

「自分がいいと思ったものを撮る。見せる」ということだ。

 

仕事での成果物は、相手から求められたものを納品する。

誰が見ても理解できる「商品」であり、そこに自己表現はない。

プライベートで撮るものは違う。

写真を通して、自分自身の思考や精神状態、ときに生き方を表現している。

それを言い換えると、一つ一つが「心象風景」なのかもしれない。

私の心を映し出す写真。

誰かの模倣ではなく、誰かに気に入られるためのものでもなく、

自分の心を映し出す鏡のような写真を撮っていきたい。

 

 

広島のライター&カメラマン
ぶるぼん企画室
代表 堀行丈治
東広島市八本松南5-6-12コウセイビル202
TEL.082-401-1072 FAX.082-553-0556

 

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。