彼岸花

 

2000年台初頭にAmazonや楽天を利用すると、購入結果に応じてサイト内に広告が表示されていた。

椅子を買うとAmazonでは机やソファーの広告が表示されるのに、楽天では椅子の広告ばかり出てきて

「もう買ったのに」という笑い話のようなこともあった。

やがて広告はそのサイト内だけでなく、あらゆるネットメディアでも表示されるようになった。

ブラウザでの検索結果が記録され、AIによって広告が選別されているのだろう。

登山用のザックを買ったせいで、この1週間ほどはザックの広告ばかり流れてくる。

ユーザーが求めているもの、その周辺にあるものを表示すれば、広告効果は上がる。

 

広告に限らず、ニュースサイトやSNSのトレンドなども、個々のユーザーの嗜好に合わせた表示がされる。

フォローしていないアカウントの投稿が表示されることが多くなった。

しかもそれが、潜在的に求めている情報であることも多い。

ほしい情報だけに囲まれて、SNS空間の居心地はさらに良くなる。

 

思想や主義主張についても、同じことが言える。

思いを同じくする人たちがつながりやすく、反対意見は表示されにくい。

気がつけばタイムラインは自分と同じ考えの人で埋め尽くされ、あたかもそれが主流であるかのように錯覚する。

SNS空間では、ユーザー「個人」は常に多数派になってしまう。

そして望まざる現実を目にしても受け入れられない。

選挙のときにはその傾向が一層強くなる。

結果、不正を主張したり反対派を敵視したりと、対立や分断が生まれやすくなっていく。

 

自分にとって都合が良い情報だけを選ぶつもりがなくても、配信されてくる情報が自分仕様にカスタマイズされている。

SNS中心のネット社会で、ニュートラルな視点を確保することは結構な難題だ。

 

 

広島のライター&カメラマン
ぶるぼん企画室
代表 堀行丈治
東広島市八本松南5-6-12コウセイビル202
TEL.082-401-1072 FAX.082-553-0556

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

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