かねてから気になっていた書籍「イスラム2.0 SNSが変えた1400年の宗教観」(飯山陽)を読み終えた。
イスラム教という宗教のことを何も分かっていなかったが、教義はともかく信者の行動原理が理解できた。
一般的な日本人とはまったく違っている。
そして、インターネット時代の今、先鋭化した暴力的な組織が支持される理由も分かった。
イスラム教は「神の法」であり、信者にとっては近代法、世俗法よりも上位にある。
要は「絶対」なのだ。
インターネットが普及する前は、モスクでイスラム法学者の説教を聞くことでしか教義に触れることができなかった。
法学者は国家がお墨付きを与えた権威であり、イスラム法と世俗法との折り合いを付けられるような解釈を信者に説く。
他にイスラム法に触れることができない信者は、法学者の言うことが絶対だった。
しかし現在は、スマホ1台あれば誰でも原典「コーラン」を読むことができる。
あるいはYoutubeでは原理主義者のプロパガンダがあふれ、そこにも簡単にアクセスできる。
「神の法」の真髄を知った信者は、世俗法に合わせて生きている自分の矛盾に気づく。
そういった人たちが「理想郷」を求めて「イスラム国」を目指す人が現れる。
「神の法」を忠実に実行すると、イスラム国の「メディナ憲章」になる。
敬虔な信者であればあるほど、イスラム国の主義主張に共感しやすいだろう。
21世紀に入って、宗教の世界はものすごいスピードで変化している。
えてして私たち日本人は「無神論者」「無宗教」などと言われたり、自認したりする。
自分に信じるものがなくても、他者の宗教観を知っておくことは大切なことだ。
価値観は宗教観に根ざすことも多い。
信仰する、しないの問題ではなく、もはや私たちは宗教と無縁の生活などできないのかもしれない。
広島のライター&カメラマン
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