北アルプスの乗鞍岳には、日本一標高が高いバス停「乗鞍山頂(畳平)」がある。
麓と山頂は乗鞍スカイラインという道路で結ばれていて、観光客や登山客にとって貴重な交通手段になっている。
山頂行きのバスに乗ると、アナウンスが流れる。
曰く
乗鞍岳の山岳道路は昭和17年に、濃飛バスの創業者が敷設した。
昭和22年に乗鞍岳の観光道路となった。
昭和40年代には対面通行ができる道路に整備され、乗鞍スカイラインとなった。
概ねこういった内容だった。
バス会社の創業者が、バス路線としての事業性や収益性を見通していたのはもちろんだが、
地元の名峰を観光資源化して、日本中から人が集まるように、
ひいては地域が潤うようにという思いもあったのではないかと、勝手に思っている。
むしろ、後者の思いのほうが強かったのではなかろうか。
標高2700メートルの場所まで道路を通すには莫大な費用と労力、時間がかかる。
まして、物資が限られている戦中のことだ。
自社の収益だけを考えると、リスクが大きすぎる事業だったろう。
だが、このバス会社は道路をつくった。
そこにはきっと、地域愛があったと思う。
乗鞍スカイラインは、バスとタクシー、自転車以外は通行禁止だ。
バス会社にとっては優良な黒字路線になっているだろう。
収益性プラス地域貢献、社会貢献となる道路を敷設したことが、バス会社に事業権をもたらしたのではないだろうか。
社会性のある事業は強い。
広島のライター&カメラマン
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