桜

 

最近観た映像作品の話。

アジアンドキュメンタリーズの最新配信作品「天国の傍で」(原題:ALMOST HEAVEN)を観た。

 

アジアンドキュメンタリーズ配信「天国の傍で」予告編【日本初公開

 

葬儀会社で納棺師を務める少女が主人公だ。

納棺師は望んでいた仕事ではないが、親に仕送りをするために働いている。

同世代の少年、ジンホワとコンビで当直にあたり、遺体洗浄や葬儀進行の研修を受けている。

深夜の遺体安置所は不気味なのだが、遺体がエレベーターで降ろされたり台車で運ばれたりする様は

どことなく無機質というか、葬儀も「作業」や「工程」が組み込まれた産業のように見える。

遺族とのやりとりも、双方ともビジネスライクな面が垣間見えて、

現代の中国を象徴しているようにも思う。

 

観ていて一番心を動かされたのが、彼らがごく普通の少年少女だということ。

現実的な少女と楽天的な少年。

シーンは仕事と日常が、同じくらいのボリュームで描かれていて、

多感な十代の心模様も伝わってくる。

気がつくと、どっぷりと感情移入してしまい、主人公インリンを心から応援している自分がいた。

葬儀会社という非日常なシチュエーションではあるが、

その他は特別なことをしているわけではなく、日常の喜怒哀楽を丁寧に描いている。

それだけで面白い。

小さな心の変化こそが、ヒューマニズムの醍醐味なのかもしれない。

 

 

 

広島のライター&カメラマン
ぶるぼん企画室
代表 堀行丈治
東広島市八本松南5-6-12コウセイビル202
TEL.082-401-1072 FAX.082-553-0556

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

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