たまたま見た国会中継で、立憲民主党の塩村議員が質問に立っていた。
質疑の内容は、フィリピンの残留日本人についてのものだった。
フィリピンに、日本人の父を持ちながら何十年も無国籍状態の人がいる。
戦前にフィリピンで暮らしていた日本人と、フィリピン人の間に生まれた子どもだ。
父は徴兵され、母と子はフィリピンに残され、敗戦と同時に日本国に見捨てられた。
80年もの間、日本国籍を与えられずにいる。
このことを私が知ったのは数年前に、映画「日本人の忘れもの」を観たからだ。
この映画がなければ、残留日本人のことを気にかけることは生涯なかっただろう。
今日の塩村議員の質疑に関心を寄せることもなかったと思う。
残留日本人の皆さんが、一日でも早く日本国籍に復帰できることを祈る。
そして、この「日本人の忘れもの」に登場するおばあちゃんは、
片言だけどとても美しい日本語を使っていた。
私たちの忘れものは、他にもあるのだと思った。