平和だけじゃなかった中国新聞の取材力

 

昨日と今日、中国新聞がスクープを連発した。

5月9日
5月10日

安倍元首相が在任時に、官房機密費を選挙対策に使ったというもので、

元官房長官の証言もある。

他紙を出し抜いた独占ニュースで、河井事件を世に知らしめた地方新聞社の本気度が伝わってくる。

報道機関らしい仕事ぶりだ。

 

この記事を読んで、先日発表された「報道自由度ランキング」のことが頭に浮かんだ。

国境なき記者団が発表する同ランキングで、日本は70位。

政治的圧力や男女不平等などで、記者が監視者としての役割を完全に果たすことをしばしば妨げられている

というのが理由の一つとされている。

私はこの理由を読んで、日本のジャーナリズムがそんなに弱いとは思えなかった。

政治的圧力に屈するようなメディアはいないと信じていた。

今回の中国新聞報道は、国境なき記者団の評価を撥ね退ける、ジャーナリズムの矜持のようなものを感じる。

ランキング70位の理由としてもう一つ、記者クラブの排他性も挙げられている。

これは毎年指摘されている(と記憶している)。

記者クラブに入っていない外国人記者やフリーの記者は、記者会見会場に入れない。

記者クラブの会員は大手メディアで占められていて、公的機関の情報を独占し、

各社示し合わせたように同じスタンスの報道を行う。

ところが中国新聞は、他紙を完全に出し抜いた。

横並び意識を捨て去って、大ニュースを報じたのだ。

その割には、他のメディアの反応が薄い気がする。

もっと騒いでもいいのではないか。

明日以降の続報によっては、さらにスケールの大きい事件になるかもしれない。

とりあえず今回は、中国新聞に拍手を送りたい。

 

 

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

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