小説を書くときに意識しているのは「自分」を出すこと。
それは必ずしも実体験に限らない。
むしろ作品をいくつも書いていくと、実体験の残り弾は少なくなっていく。
そこで、取材して書くという手段が生まれる。
取材すれば結果として、疑似体験ができる。
だが私が思う「自分」は、実体験でも疑似体験でもなく
自分の思考、感情、コンプレックスを出すこと(隠さないこと)だと思う。
見聞きしたことをたくさん書くことも大切だけど、
筆者の内なる心情を、文章に込めることに力を注ぎたい。
「出し惜しみした作品は弱い」という。
出し惜しみとは結局、自分自身のことだと思う。
小説を書くときに心配なのは
「こんなことを書いたら、どう思われるだろうか」
「批判されないだろうか」
「私がこんな人だと思われないだろうか」
ということ。
だけど、そこで遠慮して書いても、いい作品にはならない。
読み手の共感を得るだけでなく、軽蔑や嫌悪感を覚えさせるのも
表現者として大切なことではないだろうか。
今日から新たな作品の創作が始まる。