蜘蛛の巣

 

昨夜、無人島のキャンプを取材中のこと。

テントの荷物から照明を取り出し、すぐに夕食のテーブルに戻った。

モデルの夕食風景を撮り、取材チームも食事を済ませ、一息ついた後。

テントサイトに戻ろうと歩いていると、目の前に蜘蛛の巣が広がっていた。

懐中電灯がわりに定常光ライトで前方を照らしていたので気づいたが、

そうでなければ、身体中に糸が絡みつくところだった。

しかし、私がここを通ったのは2時間前で、

そのときはもちろん蜘蛛の巣なんてなかった。

この短時間で、ここまで細かな巣を作ることができるのか。

しかも獲物が一匹かかっている。

私が撮影と食事と歓談をして過ごしていた間に

この蜘蛛は休むことなく糸を出しては這い回り、巣を作っていたのだ。

たったの2時間でも、ここまで美しいものができるとは。

生命の神秘に驚くとともに、

やる気になれば何でもできるのではないかと思った。

「時間がない」なんて言い訳は、蜘蛛には通用しない。

限られた時間で最高の仕事をすればいいのだと、蜘蛛が教えてくれた。

その蜘蛛には申し訳ないが、歩行の邪魔になるので巣は断ち切らせてもらった。

また頑張ってくれ!

 

 

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

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