今日見た虹

 

数年前のある時期、両親に宛てて毎日、葉書を送っていた。

それは勉強会で会った先生に言われたからなのだけれど

始めたころは3年も続くとは思っていなかった。

日々、何を書こうか悩む。

親に報告するようなことが、そうそう起きるはずもない。

そう思っていたが、自分で決めた以上は続けるしかない。

せめて100日は続けようと思った。

出来事なんて、そうそう変わったことが起きるわけではない。

昨日とほとんど変わらない日もある。

心の内を書くこともできるけど、親を心配させるような

ネガティブなことは書けない。

つとめて楽しそうに、でも時々は正直に

心の内も交えて自分の日常をしたためた。

取るに足らない話が多かったはずなのだが、

今日、実家の部屋の片隅に「丈治ハガキ」という箱があるのを見つけた。

開けてみると、3年分の葉書が詰められていた。

見直すことはないだろうけれど、捨てるに捨てられないのだろうか。

自分は恥ずかしくてとても読めないが、この葉書は何のために残してあるのだろう。

送り始めた当初は「いったい息子に何があったのだ」と思ったに違いない。

途中何度か「お金がもったいないから送らなくていい」とも言われた。

3年でやめてしまった理由は自分では思い出せない。

どんな意味があったのか、いつか答えが見つかるといいなと思っている。

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

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