令和5年度松江文学学校の第3回を受講した。
今日の批評作品のひとつが、私の小説「フルスイング」。
タイトルからも連想できるとおり、野球を題材にした原稿用紙3枚分の物語だ。
高校野球の夏の地方予選を舞台にした。
野球場の雰囲気を描写する中で、応援席から流れる曲を「燃える闘魂」にした。
アントニオ猪木の入場テーマで、実際に高校野球の放送でもよく耳にする楽曲だ。
題名の「燃える闘魂」は猪木の代名詞。
これだけでじゅうぶん伝わるだろう、と思っていた。
そう思っていたのは自分だけだった。
先生は「広島カープの応援歌か何かでしょうか?」
同席していた知人も「知らない」「分からない」と言う。
そうか、もう猪木を知っている人は多くないのか。
私が中学生、高校生の頃、猪木は男子のヒーローだった。
野球やバレーボールの選手も人気はあったが、男らしさと格好良さ、強さを兼ね備えた猪木は別格だったと思う。
「猪木ボンバイエ」の掛け声で始まる入場テーマ「燃える闘魂」は誰でも知っている曲だった。
高校吹奏楽部の応援ソングとしても定着して、今でも野球場やサッカースタジアムなどで演奏されている。
だがそれは、聞けば分かるかもしれないが、題名だけで分かる人は少ないのだ。
この曲が流れても、猪木を連想しない時代が、もうそこまで来ている。
いや、もしかして「猪木ボンバイエ」といえばわかってもらえたのか……?