現在の蓬莱の天津丼

 

広島の中心部に、私が子供の頃からある商業施設「サンモール」。

地下一階には数軒の飲食店があり、そのうちの一軒が今も営業している。

「蓬莱」という名の店だ。

今日、二十数年ぶりに訪ねた。

11時半ごろだったが、店の脇に7人ほどの入店待ちの列ができていた。

あの頃も、昼前から行列ができていた。

当時はカウンター席しかなくて、空いたところに順次着席させられるので

二人で来ても席は別々になるのが当たり前だった。

今は隣にあったお好み焼き店のスペースも蓬莱になっていて、

テーブル席が用意してある。

肝心の料理は、店主は変わったものの、看板メニューの天津丼や中華丼をはじめ

ラインアップがほぼ以前のままだった。

値段も、天津が780円で、二十年前の700円と比べてもそんなに大きな値上げではない。

焼き飯は200円ぐらい上がっているけど。

というわけで、迷わず天津を注文。

待つこと約10分。出てきたのがこちら。

………

二十年の歳月は、残酷だ。

まずこの量。

全体的なボリュームは結構近いが、あんが器から溢れていない。

蓬莱の天津といえば、皿からポタポタとこぼれるあんがデフォルトだったが……。

SDGsの時代に合わせてロスを削減しているのだと思いたい。

そしてこの具材。

少ない……通っていた頃は、ネギも人参も豚肉も木耳も、この4倍ぐらいあった(それ以上かもしれない)。

そして卵の焼き加減。

焼き目がない。

当然香ばしさも変わる。

全体的な味も、記憶の味とは違っていた。

店員さんの愛想は200倍ぐらい良くなっているが、昔の商売っ気のなさそうな夫婦(+娘さん)の雰囲気も良かった。

思い出に浸っても、あの頃は帰ってこないけど

おいしい記憶はおいしいままで残しておきたいので、もう行かない。

 

 

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

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