過日、大型書店に行った。
特に何か買いたいと思っていたわけではなく、他の用事のついでに立ち寄った。
書店内をそぞろ歩きするうちに、以前オンラインセミナーで紹介されていた本のことを思い出した。
該当のジャンルのコーナーに行き棚をくまなく見るが、その本は見つからない。
そこそこの規模の書店でも、自分が欲しいと思う一冊が置いてある確率は、
ベストセラーや人気作家のものでなければ、極めて低いと思う。
欲しい本がはっきりと分かっているなら、Amazonで買えばいいのだ。
実在書店で探すと、落胆することが多い。
目当ての本がないと分かれば、もう用はないのだが、
せっかく来たので、店全体を観察しようと思った。
本は売れない時代かと思ったが、コミック売り場は以前と変わらず元気がいい。
いや、今の方がもっと勢いがあるのかもしれない。
「アニメ化決定」「映画化決定」といったPOPが随所に見られる。
ゲーム、DVD、CD……本以外の売り場が半分くらいある。
そろそろ店を出ようかと思ったとき、視界に雑誌の見出しが入ってきた。
推しが
しんどい
〜推しがいないのもしんどい〜
これ、たぶん所謂「推し活」のことなのだろうと思う。
そして私は、推し活のことは何も知らない。
「推し、燃ゆ」が話題になったときに読んだが、
そういう世界があるのだと理解しているだけだ。
だけど、何がしんどいのか分からないけど
この見出しで興味を持った。
そしてこの本、バックナンバーということで110円で売られていた。
「ダ・ヴィンチ」の2月号。
とりあえず買ってみた。
こういう出会いは楽しい。
これが実在書店の魅力なのかもしれない。
欲しい本ではないが、欲しくない本でもない。
そして自分がその存在に気づいていない本。
これを見つけるために、人は本屋に行くのだなきっと。