父と母と

 

畑に大きなイチョウの木がある。

一昨年まではたくさんの銀杏の実をつけていたのだが、去年は収穫ゼロ。

裏山にあったイチョウの木が切られたためだ。

畑のイチョウは雌義、裏山のイチョウは雄木。

雄木(雄花)がないと実をつけないのだ。

昨秋、イチョウの雄の苗木を植えた。

実をつけるのは数年先かと思っていたが、

今日雌木を見ると、たくさんの実を付けていた。

小さな苗木でも花を咲かせて、その花粉が大木の隅々まで届いていることに驚いた。

 

雌木はうちの畑の木の中で一番大きい。

子供の頃からずっとある。

何年ぐらい生きているのか気になったので、両親に尋ねた。

すると母が「大和町ができたときの記念に植えたもの」だと教えてくれた。

大草村、椋梨村、豊田村と神田村が合併して大和町ができたのは1955年だった。

町木はイチョウ、町花は桃と定められた。

その年に植えられた畑のイチョウは樹齢67年。

記念植樹だからこそ、樹齢が分かった。

うちの畑以外にも、大和町誕生の記念植樹で植えられたイチョウがあるに違いない。

イチョウの木と、その家や人の歴史をまとめたら面白そうだ。

そして、

嫁に来るよりもはるかに前のことを知っている母に脱帽。

 

 

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。