小説を書くとき、登場人物一人一人に細かな設定をする。
主人公だけではなく、家族や友人など、作品に登場する人は
全てとまでは言わないが、プロフィールを固める。
名前(フルネーム)、年齢、性格、容姿、嗜好など
作品に登場しない要素でも、できるだけ具体的にしておく。
その人物たちが、あらすじに乗ってドラマを繰り広げる。
ところが、あらすじ通りに物語が展開しないことが多い。
個々の人物が人格を形成してくると
「この人はこの場面で、こうは言わないだろう」
と思うことがある。
登場人物が、書き手の思いとは違う意志を持ってしまうのだ。
書き手が、その人物のことを理解していなかったのかもしれない。
そんなときは素直に、登場人物の意思に従って行動してもらう。
物語は思わぬ方向に転がっていく。
今まさに、この事態に直面している。
思っていたのとは違うことが起きている。
自分の意思で動き始めた彼らを止められない。
いや、実際にはこっちの思い通りに書くことはできるのだけれど、
自分のエゴで、愛すべきキャラクターたちの持ち味を殺したくない。
そんな不思議な体験ができるのが、小説を書く醍醐味なのかもしれない。
広島のライター&カメラマン
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