兵庫県知事選挙は、パワハラ疑惑で失職した斎藤前知事が当選した。
告示時点での予想は、稲村候補が圧倒的優位だったが、
終盤になるにつれて斎藤候補の支持者が増え、逆転した。
報道番組の多くが「マスコミ対SNS」という対立構図でこの選挙を報じ、
斎藤さんの支持者を「不正確なネット情報を信じた有権者」と扱う番組が多かった。
これについては野村修也さんのXのポストが核心をついていると思った。
(以下引用)
TVは、左派的な過剰ポリコレに身構えて或いは同調して情報をスクリーニングするため、①嘘は流さないが、②真実もカットしてしまう場合がある。ネットは、お構い無しに③嘘も流れるが、④真実は隠さない。TVは③を批判し①を強調するが、視聴者は②を問題視し④を評価していることに気づく必要がある
SNSユーザーはネット情報に虚偽が混じっていることは承知の上で、
さまざまなニュースを取捨選択して自身の結論を出していると思う。
テレビも新聞も、たいてい一方向からの視点でしか報じない。
兵庫県知事選でいえば「斎藤=悪」の視点ばかりで、議会の正当性に疑問を投げかける論調はなかった。
SNS上にはどちらの視点も掃いて捨てるほど存在し、信頼に値しない情報やデマゴーグもたくさんある。
そして今回は、SNSの勢いがマスメディアを上回った。
結局、有権者が求めているのはマスコミが導き出す「正答」ではなく、
自分で正誤を判断するための「材料」なのだろう。
だから、材料がたくさんある情報源を求めるのではないだろうか。
今回の選挙は「マスコミの敗北」と言われているが、
SNS上では「民主主義の敗北」あるいは「民主主義は終わった」などと嘆く人が多くて驚いた。
投票率は前回の知事選よりも15ポイントも高い。
より民意に近い選挙結果だと思うのだが、この民意を受け入れられないようだ。
選挙結果が自分の願望通りにならないことは多い。
それは自分以外の有権者の多くが望んだ結果なのだから、民意として受け入れたらいいだけ。
「民主主義の敗北」ということは、選挙結果が民主主義に反していると言いたいのか。
彼らにとっての民主主義は「自分の主張・思想」であって、有権者の意思とは関係ない。
彼らの主義・主張こそが正しい民主主義で、それ以外は間違っているというのであれば、
それはもう選民思想ではないか。
そして、自分たちの主張と対立する者は敵視する。
なんというファシズムだろうか。
選挙結果が気に入らないとき、
民主主義の危機
民主主義の敗北
民主主義は死んだ
などと言っている人には要注意だ。