盆を前に、母が墓所に懸念があると言った。

枝を落とした大木が朽ちてきて、横倒しになっている。このままでは2メートルほど下の道路に落ちてしまうと。

休暇中の弟と見に行くと、どうにか二人で持ち上げられるくらいの幹が横たわっていた。

最初はロープで吊って降ろそうかと思っていたが、切ったほうが安全だということになり、倉庫からチェーンソーを持ち出した。

しかし、エンジンがかからない。始動のベルトを何度も引いたけど、うんともすんとも言わない。

諦めかけた頃になってやっと、かかりそうな反応をし始めた。

何度か繰り返していると、ついにエンジン音が響き始めた。

だが木を切り終えてアクセルから手を離すと、すぐに止まる。

その後も一本切ってはまたエンジンをかけ、切ってはエンジンをかけることの繰り返し。

少しストレスを感じながらの作業だった。

チェーンソーは父が購入したものだが、私は父が使っているところを見たことがない。

おそらく5年以上、いや10年近く出番がなかったのではないかと思う。

そして、道具・機械は使わないでいると、動かなくなったり誤作動したりする。

たぶん人の能力も、使わないと退化する。

人も物も、使うことで初めてその真価を発揮するのだ。

我が家のチェーンソーは、エンジンがかかりやすくなった。

これからはもっとバリバリと木を切りたい。  

 

 

ぶるぼん企画室は広島県東広島市を拠点に活動する編集プロダクションです。

ぶるぼん企画室
代表 堀行丈治
東広島市八本松南5-6-12コウセイビル202
TEL.082-401-1072 FAX.082-553-0556

By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *