梅雨らしい一日だった

 

叔父の四十九日法要があった。

叔母はよく家に来てくれるが、私が叔母宅を訪ねるのは初めてだった。

食事の時、正面と隣に従姉妹が座ってっくれた。

40年以上会っていないので、面影もはっきと覚えていない。

それでも、近況を話しているだけなのに、親族特有の心地よさのようなものが生まれてくる。

もっと顔を合わせておけばよかったとも思った。

 

子どもの頃は、正月や盆になると母の実家に泊まりがけで集まった。

いとこ同士が必ず顔を合わせる場だった。

それは本当に楽しい時間だったのだけれど、私は中学生になると、母について行かなくなった。

いとこの中で最年長だった私は、小学生と遊ぶことに対して気恥ずかしさのような抵抗を覚えていた。

部活の練習を休むわけにはいかないという思い込みもあった。

部活の強迫観念はひどくて、親に「稲刈りで人手が足りないから帰ってこい」と言われても

怖くて「稲刈りがあるので休ませてください」と言えなかった。

いま振り返れば「休めばいいじゃないか」と思えるが、当時は自分にとって死活問題のように感じた。

 

すべてにおいて、何かを恐れていた。

「年下と遊んでいると馬鹿にされはしないか」「稲刈りなんかで部活を休むわけにはいかない」

学校での虚栄心のために、親族、家族を蔑ろにしてしまった。

そのつけが、数十年経って現れる。

稲刈りを手伝ってくれといった祖父も父も、もういない。

せめていま生きている家族親族とは、もっと近い関係でいられたらと思う。

 

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。