淡竹の筍

 

毎年5月になると、実家の竹薮で淡竹の筍を採るのだが、

今年はほとんど見かけないと母が言う。

イノシシが先に食べてしまうのだ。

成長した竹が曲がって、隣の民家に倒れそうなので

雨の中伐採に行った。

薮に到着してみると、あちこち掘り返された跡があり、

そのうちの幾つかは筍の根元だけが残っている。

うちの畑の隣で、近所のご夫婦が、土手に階段梯子を据えつけていた。

他の農家の方が、イノシシの侵入を防ぐため鉄柵を増設したことで、畑に入りづらくなったのだ。

鉄柵は至る所に設置されているが、山と里の全てを遮断するほどではない。

どこかに隙間があるので、いずれまたイノシシたちはやってくるだろう。

手間をかけて育てた作物が、収穫寸前に食べられてしまうのは悲しい。

筍は放っておいても生えてくるものだが、畑の野菜は何度も被害にあった。

今はフェンスで囲っている。

まだまだイノシシとの戦いは続きそうだ。

母が、今日の作業のご褒美にと、イノシシが見逃した筍をくれた。

今年はこれが、最初で最後かもしれない。

 

 

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

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