西条中央公園

 

昨日、先生とコーヒーを飲みながら写真談義をしている時、安井仲治の写真展の話になった。

神戸での写真展が12日で終わってしまい、23日から東京で開催されるということだ。

先生は高齢で、遠方に行くのは難しい。

だから、どうしても見たいときは、図録を買うのだという。

そうか、図録か。その手があったか。

私も気になる写真展がある。

中平卓馬 火―氾濫

東京国立近代美術館での開催で、会期は4月7日までだ。

残念ながら、今のところ東京に行く予定がない。

だが何とかして見たいという気持ちも強く、写真展を見るためだけに日帰りしようかとも考えた。

しかし、入館料の10倍以上のお金を払って行くというのは、浪費の極みだと思ってしまう。

そんなときに聞いた、図録という手段。

さっそく美術館のオンラインショップで図録を見つけ、購入手続きをした。

送料940円。

図録の3500円とは別に、送料もかかる。

少し考える頭があれば当たり前のことなのに、一瞬躊躇いを感じてしまった。

いつの頃からか、送料無料が当たり前のような感覚になっていた。

Amazonの登場以来、本1冊でも、消しゴム1個でも送料無料で届く時代がずっと続いた。

Amazonを知った当初は、それが衝撃的な体験だったが、使い続けているうちに

インターネットでの買い物は送料無料が当たり前、送料別途は論外。

という、独りよがりな基準が染み付いてしまった。

しかし、物1個を運ぶのにも、トラックを運転する人、集荷する人、仕分けする人

さまざまな手がかかって、家まで届く。

彼らの給料はどこから出るのか。

倉庫会社や運送会社はどうやって利益を出すのか。

実際は、荷主が送料を負担するということなのだが、

荷主も利益確保のために、送料を切り詰めていく。

入札させるのか値切るのかは知らないが、

皺寄せは運送業者に集まるだろう。

送料無料という言葉の響きが、

輸送に関わる人たちの賃金や利益を不当に下げてきたのではないかとも思う。

本来であれば、1冊の本を東京から広島まで運んでくるのだから

940円は決して高くない。

冷静に考えれば安いと思う。

それでも「送料別」という事実は、購入の高いハードルになっている自分がいる。

Amazonも、Amazon以外の出店者が増えて、送料が別途必要な商品が増えてきた。

ヨドバシはいまだに無料で頑張っているが、

はたして我々はいつまで送料無料を当たり前だと思えるのか。

ものが安いのはありがたいが、安さを追求するあまり、

みんな貧しくなってしまったのが、この30年だ。

時給があちこちで上がりはじめた。

ショッピングの送料も、明確に加算される時代に入ってくるだろう。

それを拒絶するのではなく、歓迎する心を持っていたい。

みんな値切ることをやめて、みんなで儲ければいいのだ。

 

 

 

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。