日本フルハップの会報誌「まんど」2月号「心に残ることば」より。
万葉集に収められている、大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)の歌が紹介されている。
酒杯(さかづき)に梅の花浮かべ思ふどち
飲みての後は散りぬともよし
まず思ったのは、ルビなしでは大伴坂上郎女が読めなかった。
(私は文学の知識がない)
それはいいとして、この歌の意味は
酒杯に梅の花を浮かべ、親しい者同士が飲み合い、十分に楽しんだ後は、花は散ってもいいだろう。
ということのようだ。
コラム執筆者の音田昌子さんは、坂上郎女の半生を紹介して、最後にこう綴っている。
与えられた運命のなかで精一杯生きてきた彼女だったが、ふと、このまま老いることへの不安を感じたのではないか。
そんな気持ちを封印し、役割を果たせば「花は散りぬともよし」とするような、坂上郎女の潔さを感じ、時代は違えども、同じ女性として共感を覚えた。
私は男だが、老いてゆくことへの不安はもちろんある。
だが先々を心配しても何も始まらないという気持ちも持っている。
人生で、自分に与えられた役割が何なのか、いまだ模索中だけど、
少しずつ近づいてきているような気もする、ほんとうにゆっくりだが。
それも、動いているからこそ近づいていくのだと思う。
止まっていては永遠に近づけない。
今の自分にできることを全力でやってみようと、
今日も気持ちを新たにした。