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今日は父の通院日。

先月後半から衰えが目立つようになり、言葉を発しても何を言っているのかよく聞き取れない。

自力で立ち上がることもできなくなった。

迎えに行って車に乗せる時、父の手を握った。

腕も脚も棒切れのように細くなってしまったが、手だけは昔のままの大きさだ。

といっても、最後に父の手を握ったのがいつの頃だったのかすら思い出せない。

昔のままというよりは、想像以上に大きくて力強かったというべきかもしれない。

家族を養ってきた重みのようなものを感じた。

病院では、初めて車椅子を借りた。

手を握る、抱える、話しかける。

ただそれだけのことなのに、父を支えることができてうれしく思う。

病状が良くなる気配はない。

先々は今よりもっと大変かもしれない。

日本人男性の平均寿命を超えた父と、あとどれくらい一緒にいられるだろうか。

サッカーのアディショナルタイムは、負けているチームが必死になる。

勝手いるチームも全力で逃げ切りを図る。

人生はアディショナルタイムに入ってから必死になっても遅い気がする。

もっと早くから父と関わっていれば、もっとたくさんのことを話せただろう。

最後まで不器用な親子関係だった。

しかしまだゲームは続く。

どんなドラマが生まれるか分からない。

そう信じて、また父に付き添う。

 

 

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

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