今日の昼食はラーメンにした。
なんとなく目に入ったラーメン店の暖簾をくぐる。
お品書きはラーメンとチャーシューメンとスタミナラーメン、ごはん、焼豚丼というシンプルな構成だった。
そんなにお腹が空いていなかったのでラーメン600円を注文。
一口啜ると、子供の頃のことを思い出した。
母の買い物について行って、一緒に食べたラーメンの味。
昭和の時代には、実家の周りにも商店街があり、日常の買い物は近所で間に合っていた。
それでも時々、広島市内まで行かないと手に入らないものがあった。
母が何を買いに行ったのかは知らないが、二人で外出できることがうれしかった。
遠出をすることは滅多にない母にとって、昔住んでいたとはいえ広島市内も遠方だった。
もちろん私も旅に出るような喜びがあった。
買い物を終えて、おそらく駅ビルか駅前イズミかどこかのラーメン店に入ったのだと思う。
そのとき発した言葉を、いまでも覚えている。
「食べにくいけど、おいしい」という、褒めているのか貶しているのか分からないような言葉。
細麺でこしがあって、啜るのにすこし力がいる麺だったと思う。
だけどその味がとてもおいしくて、子供なりに考えて言ったのだ。
その食感を思い出した。
あれから半世紀近く生きてきて、いろんなことを忘れてしまったけど
あのラーメンの味はまだ覚えている。
きっと、母と外食するということの喜びもあったのだと思う。
いつかまた、母とラーメン屋に入りたい。
この店なら、気に入ってくれるかもしれない。