水田に映り込んだ宵の空

 

夕方、仕事を早めに終えて実家に帰った。

父の体調はすぐれずほとんど寝たきりの生活になっている。

会話もおぼつかない状態で、母の話し相手もできない。

 

連休の最後2日半、私は誰かと話す機会がなく、一言も声を発しなかった。

その事実に気がつき、声を出そうとしたがうまく発声できない。

喉の奥で曇っているような薄い声だった。

話すことはけっこうエネルギーを使う。

長時間しゃべると、心地よい疲労を感じる。

だが長い間しゃべらないと、体の中ににもやもやしたものがたまっている感じがする。

話し相手がいない母も、しんどい思いをしているのではないか。

心配が先に立って、帰ってきた。

特別に話す時間を作るわけではないけれど、

夕飯のときに言葉を交わすだけでも気持ちがほぐれる。

母を心配しているつもりだったが、自分の方が救われている気がする。

相談事があるわけじゃない。

長話をするわけでもない。

少しの会話でも、この場所に居ることで心が落ち着く。

父と母がいてくれるだけで幸せを感じる。

 

今夜は自分の部屋に戻らずに、食卓でこの雑記帳を書いている。

 

 

ぶるぼん企画室は広島県東広島市を拠点に活動する編集プロダクションです。

ぶるぼん企画室
代表 堀行丈治
東広島市八本松南5-6-12コウセイビル202
TEL.082-401-1072 FAX.082-553-0556

By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です