宍道湖

 

令和5年度の松江文学学校が開校した。

初日の今日は、6編の作品の批評があった。

女性筆者の作品で、若い男が主人公の創作物語があった。

今年度の創作15編のうち、7編は異性を主人公にしたものだという。

そして、筆者の年齢よりもずいぶん若い設定の主人公が多いそうだ。

今までは特に意識していなかったが、改めて筆者と主人公の性別を知った上で読むと。

ある種の違和感が隠れていることに気づいた。

文章は上手い。情景描写も心理表現も読んでいてイメージが広がる。

しかしこれが、主人公「オレ」の言葉や思考に思えない。

男の感性でものごとを見ているように読めない。

おそらく、女性の目と心で感じる世界を「オレ」に投影するからだと思う。

もし私が若い女性を主人公に小説を書けば、どう書いてもおじさんっぽい思考の女になってしまうだろう。

三人称で書けば、多少は違和感を薄めることができるかもしれない。

だが、本質的な解決にはならないだろう。

やはり書き手は、本来の性から離れた感性を手にするのは難しいと思う。

そしてそれは、エンターテインメントと文学の境目になっていると、先生は言った。

現代的で面白さを追求する作品であれば、異性の主人公のほうが書きやすいかもしれない。

だが、人として何かを残したいと思って書くのであれば、自分自身に近い属性の主人公にしたほうがいい。

それは自分を晒け出す覚悟がないとできない、とても勇気がいることだと思うけど。

 

 

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

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