校正の仕事で大切なことは、一番に間違いや嘘がないこと。
次に、文章が日本語として成立していること。(外国語のこともある)
そして、表記や記述のルールが統一されていること。
日本語には、平仮名、カタカナ、漢字があり、記事ではさらに英字や洋数字も織り交ぜてある。
文字の種類が多い上に、漢字は同音異義語が非常に多い。
新聞系の媒体の校正では
「かける」という言葉は、掛ける、賭ける、駆ける、懸ける、架けるなどがあり、意味によって使い分ける。
だが「繋ぐ」は平仮名で「つなぐ」と表記する。「揃う」も「そろう」なのだ。
基準になっているのは「記者ハンドブック」という、共同通信が発行している用語集だ。
漢字については常用漢字を基本にしているので、「繋」「揃」など常用外の漢字は平仮名表記になる。
共同通信が決めているのではなく、文化庁が決めているのだ。
言葉を取り巻く環境は日々変化している。
マスコミ用語は、時代に合わせて修正したり、新しい言葉を取り入れたりしてきた。
記者ハンドブック第14版が、3月15日に発行される。(実際にはもう販売していて、私いの手元にも今日届いた)
内容の9割以上は第13版と同じだろうとは思うが「サステナブル」という新語が入っている。
これまでは媒体によって「サステナブル」「サステイナブル」と2通りの表記があった。
校正するときに迷っていたので、一つの基準ができたことはありがたい。
長らく時代遅れな表記をだった「テークアウト」も、「テイクアウト」に変わった。
ついでに「メーク」も「メイク」にしないところが、なんとも新聞屋さんらしい。
今回の目玉は「ジェンダー平等への配慮」なのだそうだ。
用語では
うぐいす嬢→場内アナウンス係、車上運動員
女史→○○○○さん
女優→俳優
婦警、婦人警官→女性警官
と書き換える。
男勝り、女だてら、才色兼備、処女作品、内助の功などは、不適切表現だ。
性自認、性的指向、LGBT、LGBTQ、Xジェンダー、SOGI……注意事項がいろいろと書いてある。
このあたりは自分が執筆するときも注意しなければと思う。
履歴書の性別、年齢、顔写真欄は差別だという運動もあると聞く。
なんというか、窮屈な時代になっている気がするが、Twitterでビジネスパートナーを探すようなものなのかな。
それなら結構面白いかも、と思ってしまう。
うちが採用活動をするときは写真も性別もいらないから、Twitterアカウントを知らせてもらおう。