先月の終わり頃、定期健康診断を受けた。

受診する医療機関はかれこれ10年以上変わってない。

知らない所に変えるのが面倒なことが一番の理由だが、

待ち時間に読む本が充実している、というよりも私の指向に合っているのも大きい。

読む本は毎回決まっている。

まず「ダ・ヴィンチ」。

私はとても読書好きといえるような者ではないのだが、

なぜかダ・ヴィンチの記事を読むのが好きなのだ。

そこで紹介されている本が気になれば読んでみる、といったスタンスでページをめくる。

手に取ったのは2026年5月号。

伊藤潤二の特集が組まれていることに興味をそそられた(といっても、『うずまき』くらいしかまともに読んだことがない)。

特集は読み応えがあって、今更ながら他の作品も読んでみたいと思ったのだが、それ以上に心に残ったのが「今月のプラチナ本」だった。

作品は『夜明けのハントレス』(河崎秋子)。

編集部員から激賞のレビューが綴られていた。

狩猟の経験はないが山に入ることは多く、野生動物との距離感に興味があったので、読んでみたいと思った。

さっそくAmazonでチェックした。

今どきの単行本は2000円もするのかと驚いた。

ここでケチな経済観念が働いて図書館のホームページを検索すると、蔵書があった。

しかも、貸し出し予約ゼロ。

これ幸いとばかりに借りてきた。

そして、1週間かけて読んだ。

一人の女性が狩猟を通して、自然界への敬意や人との向き合い方、命の重さなどを体得していく物語。

山の中で熊を追う場面では、緊張感あふれる描写で、読んでいて胸騒ぎがした。

現代の熊騒動に通ずる出来事もあり、とても共感できる作品だった。

読み終えて最初に思ったことは

「これを無料で読んでは作者に失礼だ」。

私は作品への敬意を表すために、投げ銭するような気持ちでAmazonの購入ボタンを押した。

もちろん近眼&老眼なのでKindle版だ。(紙と35円しか違わないのは、出版社が儲けすぎではないかと思う)

これで風呂の中でも、消灯して寝ながらでも読める。

二度、三度と読み重ねてみたい。

 

私は今まで、図書館に新刊を置くから本が売れない、本屋が潰れるという「図書館悪玉論」を支持していたが……

読んで面白いと感じたら、購入で作品へのリスペクトを示す。

こんな使い方なら、図書館で借りるのも悪くないなと思った。

 

井野口病院さんへ

待ち合いに「ダ・ヴィンチ」を置いてくれてありがとう。毎年楽しみにしています。

By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。