図書館には「リクエスト」というサービスがある。
蔵書にない本を、他の図書館から移動させたり、購入したりと
いわゆる「取り寄せ」を行なって、貸し出ししてくれる。
先日図書館で借りて読んだ、林智裕氏の『「正しさ」の商人』がとても面白かったので
今年3月に発刊された『「やさしさ」の免罪符』も読みたいと思って、図書検索すると見当たらなかった。
市内の他の図書館にもない。
読みたければ買えばいい話なのだが、何事も経験だと思って、初めてリクエストをしてみた。
ついでに、主要マスコミや大手書店では、存在すらしていないことになった本、
『トランスジェンダーになりたい少女たち』もリクエストした。
すでに購入して読んでいるが、図書館でも焚書にされてしまうのではないかと、興味が湧いた。
2冊とも4月16日にリクエストして、待つこと1カ月。
昨日、『「やさしさ」の免罪符』の準備ができたとメールが届いた。
『トランスジェンダーになりたい少女たち』は、まさかNGなのだろうかと思った翌日の今日、
こちらも準備ができたと連絡があった。
よかった、図書館には表現の自由が残っていた。
さっそく借りてきてこれから読み始めるのだが、気になることがある。
リクエストを利用するまで意識したことがなかったが、
『「やさしさ」の免罪符』は今年3月、『トランスジェンダーになりたい少女たち』は4月に発売された本だ。
出たばかりの本が、図書館で無料で読める。
図書館に行くと分かるが、書籍だけでなく雑誌まで置いてある。
本は、お金を出して買わなくても、図書館に行けばタダで読めるのだ。
人気の本は順番待ちになるが、とにかくタダ。
これでいいのだろうか。
民業圧迫ではなかろうかと思った。
実際、町の本屋は息も絶え絶え。
広島市内の本通では新刊書店が消え、東広島市も大学周辺で唯一の本屋が今月閉店する。
新刊本という、いちばん売れそうな本、雑誌が図書館にある。
こんな環境で、いったい誰が本屋で買うのか。
順番が待てない、図書館まで行く時間がない、人が触ったものは触りたくない・・・
そんな人ぐらいしか買わないだろう。
最近よく「町の本屋を守ろう」的な記事を目にするけど、
本当に守ろうと思えば、図書館に新刊を置かない方がいいのではないか。
発売日から1年が過ぎたら図書館に置く。
これだけで、本屋で本を買う人が増えると思う。