茶道の稽古のとき、床の間の掛け物がほとんど読めない。
自分の浅学さを悔いるだけでは永遠に読めないので、少しずつ勉強しようと思う。
本を買った。
「茶席から広がる 漢詩の世界」
題名だけで選んでしまったが、発行しているのが偶然にも淡交社だった。
茶道の先生が所属している淡交会の出版部門だ(と思う)。
この本で最初に出てくるのが
春水満四沢(しゅんすいしたくにみつ)
雪解けの水が四方に流れ出る様子のことだという。
出典は四時歌(しじか)。
四季それぞれのよさを歌っている。
春水満四沢(しゅんすい したくにみち)
夏雲多奇峰(かうん きほうおおし)
秋月揚明暉(しゅうげつ めいきをあげ)
冬嶺秀孤松(とうれい こしょうをひいず)
一番に春の訪れを知らせてくれるのは、花ではなく雪解け水のせせらぎの音。
昔の人は、花よりもまず水の音で春を感じていたのだという。
いまはもう桜の開花が始まって春本番だが、雪解けの頃から春は始まっているのだ。
この冬は毎日外を歩いていたから、その感覚は分かる。
ずいぶん前から春が近づいている実感があった。
水ではなく、空気だったけど。