取材先のスーパーの店頭に、刃物屋さんが出店していた。
包丁や鋏、ピーラー、爪切りなど、さまざまな刃の付く物が売られている。
什器の奥にはグラインダーが置かれ、お客さんが持ち込んだ刃物を二人の職人さんが研いでいた。
年配の職人さんが師匠なのだろう。
時折若手に手本を見せたり助言をしたりしている。
持ち込まれる物は、包丁の他、植木鋏を研ぎに出す人もいた。
私は家で包丁を研いでいるが、いつも切れ味が今ひとつだ。
砥石の角度の参考にしようと、職人さんの手つきをじっと見ていた。
途中、買い物客の婦人が職人さんに声をかける。
「この間、包丁を研いでもらってからすごく良く切れて助かりました」
「お金を払って終わり」ではなく、その後の使用感をお礼と一緒に伝える。
このお客さんの言葉に、横で聞いている私もうれしくなった。
安物を買って、壊れたら使い捨てるのではなく、
良い物を手入れしながら長く使うほうがいい。
子供の頃の暮らしはそうだった。
私が使っている包丁が良い物かどうか分からないが、
売られていた包丁で使いやすそうな物があったので買ってみた。
明日から使ってみよう。
今までの包丁も、今日見た角度を真似して研いでみよう。
切れ味が戻りますように。
広島のライター&カメラマン
ぶるぼん企画室
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