写真クラブでの話。
「ハートフル」というテーマで、何を撮るか。
桜の下で笑顔か、子供を抱きしめる母親か……
言葉から連想できるような世界は、誰でも撮る。
そのような作品は、素材の良し悪しや、撮影が上手いか下手かの技量でジャッジされる。
既視感のある題材で、いかにきれいに撮るかに血道を上げる。
主役、脇役、背景を作り込んで、細やかに設定して撮れば、
「上手に撮っているなあ」と玄人受けはするだろう。
それを「感心する写真」というのだそうだ。
写真クラブの方針は「自分にしか撮れない一枚を撮る」だ(と思っている)。
一番に求められるのは「感心する写真」ではない。
上手な写真でなくても
「何となく気になる」「もう一度見たくなる」「印象に残る」
と思わせる写真。
「感動する写真」だ。
しかし、「よし! 感動する写真を撮ろう」と思って出掛けても、たぶん撮れない。
どうすれば撮れるのか。
先生の答えはシンプルだった。
「毎日続けて撮っていく中に、感動する写真がある。とにかく毎日撮ることが大切」
思わず下を向いてしまう。
今年に入ってから、(趣味)写真を撮っている日は数えるほどだ。
撮らない者に「感動する写真」が撮れるわけがない。
作品を出すとなったとき、過去の写真から選んでいるようではだめだ。
「毎日撮る」と心に誓ったはずなのに、天気や仕事のせいにして何もしないでいる。
撮ろう。
被写体に気づかないのは感度が鈍っているからだ。
明日からではなく、今から撮ろう。
広島のライター&カメラマン
ぶるぼん企画室
代表 堀行丈治