群衆

 

今日のXで見かけた投稿。

投稿されたのは昨日で、文章は

中国に新規出店したコストコ、半日で撤退を決める

自分中心の世界

並んでいる商品も勝手に食べてしまう

最後には何故か人糞が残されていたw

とある。

この投稿は、今日の午後1時20分時点で562万閲覧、2.3万のいいね、4557のリポストという

いわゆる“万バズ”状態だった。

投稿へのリプライ欄に、投稿者が補足としてリンクを貼ったのが

「現代ビジネス」の記事とスクショの元になった動画

動画の投稿日は今年の2月27日だが、現代ビジネスは5年以上前の2019年9月のものだった。

X投稿者の文章は、動画を要約したもの。

動画でも「わずか半日で閉店」「中国からの撤退を決定」と字幕付きのナレーションで、騒動を伝えている。

しかしもう一つのソースとなる現代ビジネスの記事はニュアンスが異なる。

混乱ぶりは動画と同じだが、人糞の件は書かれていない。

子どもが尿意を催し、ごみ箱に小便をさせる親が続出したことが書かれていた。
(公共の場で子どもに小便をさせるのは中国ではよくあることだそうだ)

そして、開店初日は半日で閉店したことは事実だが、2日目以降も営業を継続している。

撤退を決定したという事実もなく、現在コストコは中国に7店舗を展開している。

 

中国人の民度は、SNSでもしばしば話題になる。

もちろん事実も含まれているが、多分に脚色したものも多い。

この投稿は非常に分かりやすい例だ。

リプライの大半は中国人の民度を蔑むもの。

投稿の間違いを指摘するリプライもあったが、それに対して投稿者は

「判断するのは両方を見た人たちです」と開き直っていた。

現代ビジネスの記事は見出しに「半日で閉店」とあるが「撤退」の文字はなく、本文にもない。

記事を読むと撤退は間違いだと分かるし、

「コストコ 中国」で検索すれば、現在も営業していることが分かる。

だが投稿文だけ、あるいは動画だけで判断する人は、撤退を信じるだろうし中国人を蔑視するだろう。

これはSNS情報に限った話ではないのだけれど

私たちの目や耳を通して入ってくる情報は、処理能力を超えるレベルで入ってくる。

その中には虚偽の情報もたくさん含まれていて、生成AIの登場により動画のフェイクも増えてきた。

センセーショナルな話題には、つい心を奪われてしまうのだが、

内容が刺激的であればあるほど、確認する作業が必要だと思った。

真実と誤認されて広がってゆくのだから、都市伝説なんかよりよっぽどタチが悪い。

 

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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。