「塩対応」は市民権を得つつあると思っていたが、「塩答弁」という言葉は初めて目にした。
塩対応は愛想がない、そっけない態度のことで、反対語は「神対応」。
塩答弁については、新聞によると「主張がすれ違う答弁」のことだという。
うーん・・・なんかそれって、しょっぱくないよね?
塩対応の塩と、明らかに意味が違う気がする。
塩答弁なんて言葉、いつから使われているのだろうと思って検索すると
古いものでは2023年1月の毎日新聞の記事がヒットした。
岸田文雄首相は30日の衆院予算委員会の基本的質疑で、野党だけでなく与党の質問に対しても従来の域を出ない「塩対応」の答弁に徹した。
「従来の域を出ない」と「主張がすれ違う」ではまったく使う場面が違うように思うが、
強いて言えば前者のほうが対応としては塩に感じる。
毎日新聞つながりで見ると、毎日新聞校閲グループのブログにも、
2024年2月に塩対応についての記述があった。
「塩対応」については、最近は国語辞典でも説明を載せているものがあります。
〔新〕そっけない態度。愛想のない対応。「アイドルがファンに塩対応をする」
(明鏡国語辞典3版)
[俗に、芸能人などの]無愛想な対応。[対]神対応
(三省堂現代新国語辞典7版)
(「塩」の項目で)〔俗〕そっけないこと。「塩対応」
(三省堂国語辞典8版)
「そっけない」「無愛想」にまとめられます。今回の質問のきっかけになったのは、野党の代表が首相の答弁について「ゼロ回答とは言わないが、塩対応だ」とした発言でした。新語・俗用とはされるものの、一般の国語辞典にも載るようになったことを考えれば、政治家であろうと口頭のやり取りで使うこと自体は不思議ではありません。首相答弁の中身の乏しさに思わず口をついて出たのでしょう。
毎日新聞では、塩=「そっけない」「無愛想」と解釈していたようだ。
文章表現において新聞は保守的なはずなのに、なぜ「塩答弁」なる造語に近い新語、
しかも定義が曖昧な言葉を使ったのか。
今回の場合は、質問と答弁が噛み合わなかったのだから、
少なくとも「塩」という言葉で表現すべきではなかったと思う。