中国新聞の社会面で

【SNSデモクラシー】動画投稿、稼ぐなら政治系 切り抜き、まるでバブル

という記事を興味深く読んだ。

Youtubeで好まれる政治系動画の多くが「切り抜き動画」だ。

切り抜き動画は、政治家の会見や発信、議会の発言などの動画から

投稿者が自由に編集して短時間で見られるようにまとめた動画。

フルで見ると時間がかかりすぎるので、私もよく見る。

(もちろん、フルで見ることもある)

この記事を読んだとき、新聞やテレビなど既存のマスメディアがこれまでやってきた

切り取り報道

が頭に浮かんだ。

政治家の一部の発言だけを切り取って、前後の文脈や主張の全体像を見せないまま

「失言」として報道することだ。

いちばん印象に残っているのは「女性は子供を産む機械」発言で叩かれた柳沢元厚労相だ。

前後の文脈を読み取れば女性蔑視的な発言ではないことがわかるのに、この言葉だけで辞任に追い込まれた。

発言だけでなく、行動の切り取りもあった。

ぶら下がりの時間が過ぎても記者の質問に答えていた安倍総理が、

次の予定が押し迫ったので「最後の質問」に答えて去る時、

「総理、逃げるんですか」という記者の声とともに総理の後ろ姿をカメラが追う。

動画全盛期を迎え、行政側が公式に動画を発信するようになって

こういった切り取り行為は事実に反した報道だと知られるようになったが

インターネットがなかった時代は、マスコミのやりたい放題だっただろうと想像する。

切り抜き動画でも恣意的な編集は可能だが、元のフル動画を誰でも見ることができるので、

事実と異なる内容の動画は淘汰されてゆく。

一方通行の新聞、テレビとは違って、コメント欄を閉じていない限りユーザーが即座に反論できる。

新聞には紙面スペースの制約、テレビには放送時間の制約があるのは分かるが

もしこのまま切り取り報道を続けていくなら未来はないと思う。

 

 

By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。

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