盆を前に、母が墓所に懸念があると言った。
枝を落とした大木が朽ちてきて、横倒しになっている。このままでは2メートルほど下の道路に落ちてしまうと。
休暇中の弟と見に行くと、どうにか二人で持ち上げられるくらいの幹が横たわっていた。
最初はロープで吊って降ろそうかと思っていたが、切ったほうが安全だということになり、倉庫からチェーンソーを持ち出した。
しかし、エンジンがかからない。始動のベルトを何度も引いたけど、うんともすんとも言わない。
諦めかけた頃になってやっと、かかりそうな反応をし始めた。
何度か繰り返していると、ついにエンジン音が響き始めた。
だが木を切り終えてアクセルから手を離すと、すぐに止まる。
その後も一本切ってはまたエンジンをかけ、切ってはエンジンをかけることの繰り返し。
少しストレスを感じながらの作業だった。
チェーンソーは父が購入したものだが、私は父が使っているところを見たことがない。
おそらく5年以上、いや10年近く出番がなかったのではないかと思う。
そして、道具・機械は使わないでいると、動かなくなったり誤作動したりする。
たぶん人の能力も、使わないと退化する。
人も物も、使うことで初めてその真価を発揮するのだ。
我が家のチェーンソーは、エンジンがかかりやすくなった。
これからはもっとバリバリと木を切りたい。