4月5日に届いた『トランスジェンダーになりたい少女たち』。
読むのが遅いので、昨日までの3日がかりで読み終えた。
本の内容で、印象に残ったことを書き記しておく。
- 米国では“性別違和”を訴える思春期の少女が激増している。
- 過去のデータでは、“性別違和”は幼少期の早い時期に現れるものだった。
- 思春期までは感じていなかった“性別違和”が、突然彼女たちの中に発現している。
- ほとんどの場合、トランスジェンダーの友人がいる。友人全員がトランスジェンダーだということもある。
- SNSで「自分はトランスジェンダーだ」と告白すると不特定多数の人に称賛される。
- 学校は公式の文書として、学生の情報を彼らが望む性自認や名前、読んでほしい人称代名詞(he/she/they)に書き換えるが、その事実を親には知らせない。
- 米国の幼稚園では、生物学的な性(セックス)と社会的な性(ジェンダー)は別のもの、双方につながりはないと教える。
- 小学生はジェンダーの分類(トランス、クィア、ノンバイナリー、ニュートラル、シスジェンダー……)を暗記するくらい教え込まれる。
- 中学校で評価の高い健康教育カリキュラムの一つは、生徒に「違う性になった自分」を想像させるもの。
- 高校ではアナルセックスが推奨され、副教材ではフィスティングなども細かく説明される。
- 学校のカレンダーにはLGBTを称える記念日が年に数度あり、6月は1カ月まるごとLGBT月間。
- 精神科医のほとんどが、“性別違和”を訴える子供に対して、原因を探るのではなく肯定する。
- “性別違和”を軽減する治療ではなく、“性別違和”に沿った性になるよう、性転向のためのホルモン療法が推奨される。少女たちには男性ホルモンの「テストステロン」を投与し、第二次性徴を抑える。
- 大学生になると、ホルモン療法は保険適用の対象になる。
- 性別移行を後悔してテストステロンの投与を中止しても、濃い体毛や低い声などは、元に戻らない。
- 「思春期の子供たちはもう完全にに自分のことが分かっていて、正しい判断ができる」とされている。
思いつくだけでもこれくらいあるが、本書はおそらく19〜20万文字(41文字×19行×320ページ)という、膨大な情報が入っているので、ここではとうてい紹介しきれないし、そうすべきものではない。
女性として生まれたにも関わらずトランス男性になろうとする少女たちの話が中心だが、母親が語ったエピソードにぞっとした話があったので、もう一つだけ紹介する。
「初めてのブラジャー」を買いに、娘と百貨店の下着売り場に行ったら、店員がトランス女性(髭剃り跡を隠すような濃いメイク、がっしりした体格、低い声)に試着室に案内された。
この親子は試着することをあきらめて店を出たそうだ。娘が、見ず知らずの生物学的男性と試着室で二人きりになって採寸されるなんてことは、許容できないだろう。(この話は、決してトランスジェンダーに憎悪を向けるものではないと思う)
私が感じたことは、著者の広範で地道な取材と冷静な記述、体系立った構成など、読みごたえじゅうぶんな一冊であるということ。
発刊にあたっては、全米のトランス活動家から誹謗中傷や嫌がらせも受けたと想像する。
しかし筆者はトランスジェンダーに敵意を抱いているわけではない。
取材相手のトランスジェンダーにも敬意を払っていることが文章から伝わってくる。
この本は決して「差別本」ではない。
差別だという人は、どの記述が差別にあたるのかを示してほしい。
大手の書店で焚書扱いされている理由が分からない。