安井仲治と葬送のフリーレン。
この二つは私が今日、能動的に「観る」という行為をしたということだけが共通点だ。
安井仲治は、一昨日注文した作品集がさっそく今日届いた。
中平卓馬と同じく、いま東京で写真展を開催しているが、見に行けないので写真集を取り寄せた。
中平の図録は、発行が遅れるとメールがあった。
安井仲治。
写真史を学んだことがないので、どんな写真家なのかしらなかった。
先生が「見ておいたほうがいい。行けないなら図録を買ってもいい」と言っていた写真展。
行けない代わりに写真集を購入した。
安井仲治は戦中に早逝したので、時代でいうと80年以上前の作品なのだが、いっさい古さを感じない。
そして私がどう足掻いて、捏ねくり回して撮っても、良くても安井の劣化コピーにしかならないと思った。
私が写真という表現手段に求めるものが全て入っていて、想像を超えたものもあった。本当にこれが80年以上前のものなのかと驚愕する。
3740円と、写真集としては手頃な値段なのに詳しい解説まで付いている。
少しでも興味が湧けば、見たほうがいいのだと実感した。
これと似たような体験が、葬送のフリーレンだ。
大ヒットしたアニメだとは知っていたが、
なんとなく自分好みの絵ではないような気がした。
今日まで「観よう」という気にならなかったのだが、
これほど人気なのだから、第1話だけでも観ようと視聴した。
第1話を観る限り、バリバリのファンタジー物語だ。
魔王を倒した後の世界で、
勇者は加齢で死に、僧侶も先は長くない。
歳を取らない妖精が魔法の研究を続けている。
この先の展開がどうなるのか知らないが
冒険の終わりがストーリーの始まりという、
その設定が素晴らしいと思った。
本当はアニメではなく、原作が素晴らしいのだろうけど…。
コミックは字が小さくて読みづらいと感じる世代の我々にこそ、アニメがいいのではないかと、最近思っている。
何十年もアニメと縁がなかったが、そのブランクを埋めるくらい、よく観るようになった。
1話25分くらいで終わるのも、すき間時間を埋めるのにちょうどいい。
気になったものはまず観て、合わなければやめればいい。
映像でも写真でも文章でも運動でも、
興味を持ったらもう一歩進んでみる。
そこで初めて、自分に合うか合わないかを決めればいいと思う。
食わず嫌いは損だ。
日々の暮らしを楽しくするために、何事もまずは味見から。