このところ果物の話題が多いので、今日は無花果について書いてみる。
率直に言うと、無花果が好きではなかった。
見た目はすごく甘そうに見えるのだけど、食べてみると想像よりも味が薄い。
期待値の半分といったところか。
拍子抜けしたのだ。
細かな種のツブツブ感も少なからず抵抗があった。
そのせいで滅多に口にしなかったし、好んで買い求めるようなこともなかった。
だがなぜか、ここ数年おいしく感じるようになった。
栽培方法が進化して甘味が増しているのだろうか。
以前よりも甘く感じる。
慣れてくると食感も気にならないどころか、特徴があっていいと思い始めた。
そう。慣れることは大事なのだと思った。
実は、こういったことは食べ物に限った話ではないように思う。
苦手だった人のことを好きになることもある。
年齢を重ねると、見え方や感じ方が変わるのか。
許容範囲が広がるのか。
理由は定かではないが、いろいろな物や人に対する心のハードルが下がってきた。
もちろん、苦手な人や食べ物は今でもあるが、若い頃に比べるとずいぶん少なくなった。
ふと、食べ物の好みが母に似てきたことに気づく。
母の好物が、子供の頃は苦手だった。
古漬け、黒豆、無花果。
今では全部、おかわりするくらい好きだ。
母は私と違って、人を嫌ったり悪口や陰口を言うことがなかった。
まだそのレベルまではいかないが、私も人を嫌うということが最近は少なくなってきた。
意識していないのに、親に似てくる。
人間とは(自分とは?)面白いものだとつくづく思う。