今日はクリスマスで土曜日。夜8時に近所のスーパーに出向いた。
惣菜コーナーはほぼ完売。わずかに残っていた商品の中から、巻き寿司を掴んでレジに向かう。今日に限らず、この店舗は惣菜や弁当があまり残らない。セール時間になる前に完売することも珍しくない。客層が良いという理由もあるだろうが、食品ロスを最小限にするよう、企業努力をしているのだと思う。
クリスマスケーキの類もほとんど売れている。もちろん、割引シールなどは貼られていない。そこに、小さなケーキが一つあった。
そのケーキを見て、子どもの頃のクリスマスを思い出した。子ども会でクリスマス会をして、みんなでカレーを食べてプレゼント交換。という思い出もあるけど、いつも心に浮かぶのは、母が買ってくれたクリスマスケーキだ。一緒に小さいプラモデルも買ってもらった記憶がある。
子どもの頃、家の前に駄菓子屋があった。いつもは5円、10円の菓子や玩具を置いているだけだったが、クリスマスになると、小さなケーキを売る。
チョコレートがコーティングされて、白いクリームが乗って、その上に透明な赤いゼリーを固めたようなものが飾られていた。時代が進むにつれ、そのケーキは姿を消して、私自身もクリスマスケーキを喜ぶ年頃ではなくなった。
不思議なもので、大人になって、しかもそこそこ年齢を重ねた頃から、クリスマスに「あの」ケーキを食べたいと思うようになった。だが、あのケーキはどこに行っても見つからない。立派なケーキはあちこちで売られている。昔は見なかったシュトーレンなんていうものまであるが、あのケーキはもうない。
そう、あのケーキはもうないのかもしれないけど、どことなく雰囲気が似ているケーキを見つけたのだ。
雰囲気は80点あげてもいい。くまサンタの代わりに例の硬いゼリーみたいなものが乗って、クリームがもっと少なくて、ピンクのクリームもなくて、もうふた回りぐらい小さくて、外側のアルミのギザギザがなければ記憶通りだ。でもこれでいい。こういうのでいいと思う。
写真に収めるために蓋を開けた。匂いは100点だ。うれしくて胸が熱くなる。
食べるのがもったいない。でも、喜んでいただきます。