映画を観るのはもっぱら配信だったのだが、久しぶりに劇場へ行った。
観たのは「こちらあみ子」。
原作者、今村夏子の本は「むらさきのスカートの女」しか読んだことがない。
予告編も公式HPも見ず、ニュートラルな気持ちで鑑賞した。
後味の悪い映画だった。
ただ主人公がかわいそうなまま終わってしまった。
古い考え方かもしれないが、創作の物語にはある種のカタルシスが必要だと、私は思っている。
「観てよかった」と思える、心が救われるようなシーンがほしい。
だが、「むらさきのスカートの女」も救いのない結末だったし、
近年話題になる小説や映画にも、希望が見えない結末のものが多い。
観た人に何かを問いかける、社会に問題提起をするような作品であれば、それもいいと思うが、
いわゆるドラマの作品で、嫌な気持ちを抱かせたまま終わっていいのだろうか。
私の見方、解釈が違っていて、作者の意図は他にあるのかもしれないが……。
もう一つ気になったのは、主人公が発達障害(知的障害?)を持っていること。
それだけで、いろいろなハプニングが起きて当然のような設定になってしまう。
「フォレスト・ガンプ」のヒットから30年近く経つが、主人公が発達障害的な行動をする映画が徐々に増えているように思う。
ドラマにしやすいのかもしれないが、どうしても安易な選択に感じてしまう。
「演じる」発達障害も、不自然に見えた。
期待もしていなかったが、ちょっと残念な気持ちだ。
広島のライター&カメラマン
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