仙石庭園

 

ペーパーレスが加速し、若者が紙媒体から離れていく今でも、印刷の仕事を受けることがある。

しかも、最近は少し増えている気がする。

印刷の仕事といっても、制作部分だけのものもあれば、印刷、製本、納品まで受けることもある。

印刷機は持っていないので、当然外注するのだが、印刷営業に丸投げするわけにはいかない。

幸いにも過去に印刷会社で働いた経験があるので、多少のことは理解できる。

それでも印刷の仕事はいつも苦労する。

まず、色が合わない。

何と合わないかというと、発注者のイメージと合わないことが多い。

校正を紙出力することなく、PCまたはスマホの画面上で済ませる人が多くなった。

RGBをCMYKに変換した時点で色が変わってしまう。

さらに画面上のCMYKデータとプリントしたときの色、印刷機にかけたときの色、

同じにはならない。

時には発注者の許容範囲を超えることもある。

受注した自分でも「色がいまひとつ」と思うこともある。

2010年ごろまでは印刷会社に写真製版部門があった。

製版専門の会社もあった。

写真データを印刷物にするときの調整をするプロフェッショナルがいた。

さらに色校正でチェックして印刷することが多かったので、

「イメージと合わない」危険性は低かった。

インターネットの格安印刷が当たり前になり、今では色校正も省略される。

それでも色を重視したいときは、地元の印刷会社に発注して色校正を出してもらう。

100%思い通りになることはないが、少しでも近づけようと工夫することはできる。

刷り上がった見本を手にしたとき、満足することもあれば課題を見つけることもある。

仕様は細かく、デザインではセンスを求められ、刷りでは細やかな色づかいを期待され、

納品は期日厳守で(ときに早まって)、広告の場合は効果も期待される。

時間も手間もかかり、外注する工程が多く、利益は薄い。

それでも印刷は楽しい。

一人で完結できる仕事ではないからだと思う。

 

 

 

広島のライター&カメラマン
ぶるぼん企画室
代表 堀行丈治
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By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。