黄色い色は何の色?

 

何か調べ物をしようとするとき、検索候補上位に表示されるのがウィキペディアの記事だ。

最近は検索候補の上に、AIによる概要が表示されることが多いが、その出典もウィキペディアだったりする。

誰でも記事を編集できるらしいので記述内容の真偽については別ソースで確かめる必要があるが、

情報信頼度は決して低くないと思っていた。

そう、今日までは。

 

「ポリコレ」という言葉が定着して久しい。

日本語訳では「政治的正しさ」と呼ばれているこの言葉のおかげで、

他のさまざまな言葉が狩られてきた。

差別的、不快などの理由で、従来セーフだった表現がアウトになった。

看護婦が看護師、保母が保育士にと、呼称が変わった。

これはまあ、男性でもその仕事に就きたい人がいるだろうし、妥当だと思う。

クレヨンや絵の具でかつて「肌色」と呼ばれていた色は、今は呼び名が違うそうだ。
(「うすだいだい」「ペールオレンジ」などと言うらしいが「ペール」って肌じゃん・・・)

エンターテインメントでは、人魚姫が黒人になったり白雪姫が白くなかったりと

原作を無視したキャスティングもある。

私たち世代には馴染み深い「ちびくろサンボ」も差別的だという理由で一時期絶版となっていた。

だからポリコレという言葉は、リベラル思想の人々が人権を擁護するために生まれたものだと思っていた。

ウィキペディアで調べてみると、その発祥は

1970年代から1980年代にかけて、左派の人々が「ポリティカリー・コレクト」という言葉を使い始めたのは、自己批判的な風刺であり、真面目な政治運動の名称というよりは、皮肉を込めて使われていた。左派の間では、政治的正統性に固執する人々を風刺するための仲間内のジョークと考えられていた[要出典]。

とある。

ところが英語版のウィキペディアでは、内容が異なる。

訳すのは大変なので、ページを日本語に翻訳すると

政治的に正しいというフレーズは、ナチスドイツやソビエトロシアなどの全体主義政権におけるイデオロギーへの独断的な遵守を説明するために使用された1930年代に初めて登場しました。1970年代と1980年代の左翼による政治的に正しいという用語の初期の使用は、自己批判的な風刺でした。深刻な政治運動の名前というよりは、皮肉な使い方でした。それは、政治的正統性に固執しすぎている人々を風刺するために使用された左翼の間での冗談と見なされました。この用語の現代的な軽蔑的な使用は、20世紀後半の新左翼に対する保守的な批判から生まれ、多くの人がそれを検閲または政治的検閲の一形態と表現しています。

となる。

非常に面白い。

もともとはリベラルというよりも全体主義思想の者たちが言い始めた言葉だという。

たしかにポリコレを突き詰めると表現の自由は失われ、社会主義的、全体主義的な世の中になるだろう。
(すでになりかけている)

ここで面白いのは、日本語版には

「ナチスドイツやソビエトロシアの・・・」に相当する説明がいっさいないこと。

リベラル用語というよりは完全なる左翼用語だったわけだ。

 

現代ではポリコレを実践することが美徳であり、批判すればレイシストと呼ばれかねない。
(欧米ではその揺り戻しもあるが、日本ではいまだにポリコレが絶対正義みたいに感じる)

20世紀の後半まで、ポリコレは全体主義、社会主義への入り口だったということは知っておきたい。

 

(このことを知るきっかけをくれた柿生隠者氏に感謝)

 

 

 

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By ほりゆき

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