有料世界の「知識階級」

 

2月14日付中国新聞「オピニオン」面

大型評論 サナ推しの背景

題名だけで察しがつくし、何ならもう読む前からお腹いっぱいになりそうだ。

語っているのは成蹊大学教授の伊藤昌亮氏。

『週刊金曜日』で雨宮処凛と表紙に登場するような人物なので、その思想は推して知るべし。

そして件の記事である。

共同通信発で、中国新聞だけでなく全国の地方紙に掲載されていると思う。

だらだらと綴られているが、要約すると

1. SNSでサナエブームに乗せられたヤツらが安易に投票したせいで自民が圧勝した

2. 政治的な対立ではなく「古臭いオジサン」の中道と、「バイタリティーあふれる女性」のサナエの対決。

3. 新聞は購読者の「知識階級」だけ相手にせず、無料で情報を得るヤツらにも判断材料を提供しろ。

と読める。

私はネタにできるからうれしいが、こんな狂った見立ての記事を読まされる読者が気の毒だ。

まず1について、

この伊藤さんもXアカウントで発信しているから気づいているはずだが、

選挙結果の背景には、高市人気のほかに重大な要素があるのに言及していない。

それは、批判一辺倒の野党が有権者に嫌われたこと。

中道の他に共産、れいわ、社民といった左翼だけでなく、保守党も議席ゼロ。

例外的に議席を増やした参政党を除けば、

国民民主もチームみらいも提案中心の選挙で議席を増やしている。

それをSNSのせいにして、投票行動を起こした人々の安易さを「コンテンツ消費」「情動」と断定している。

もうこの時点で有権者を下に見ていることが分かる。

2については、

中道と高市で「新旧対決」と言っているが、本当は新旧メディアの対決だった。

これは前回(石破時代)の衆院選から始まっていて、選挙のたびに傾向が強まっている。

いわゆる「オールドメディア」と呼ばれるマスコミに対する、SNS発の民意だ。

マスコミが「国民的人気」と持て囃した石破自民党は衆院選で惨敗。

参院選ではマスコミが「排外主義」「極右」とネガティブキャンペーンを繰り広げた参政党が躍進。

今回の選挙では、オジサン対サナエの対立構図になる以前に、

有権者は中道の大義なき選挙協力や批判だらけの姿勢を見限った。

昔みたいなメディアによる民意のコントロールができなくなった

だが、その現実を直視できない人もいる。

オールドメディアの中の人や、この伊藤氏のような人たちだ。

3

そして、伊藤氏のような人たちを、有料世界の「知識階級」と呼ぶそうだ。

有料(新聞購読)で情報を得ている層は知識階級。

無料のSNSを頼りにしている層は「コンテンツ消費」「推し活」「情動」「集合的沸騰」と揶揄し、

切り抜き職人を「民主主義の根幹を揺るがしかねない」と叩く。

(個人的には切り取り動画は出鱈目が多いと思う。そしてマスコミもやってることは切り抜き職人と同じ)

間接的ではあるが、新聞を買わないやつらは馬鹿と認定し、「良質な判断材料を提示」せよと言う。

 

いやはや、よくこんな記事を載せたものだ。

あ、でも私は新聞を購読しているから知識階級ってことですか・・・?

By ほりゆき

ぶるぼん企画室代表の堀行丈治(ほりゆきたけはる)です。取材、執筆、撮影、編集を生業としています。